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インビザラインで歯ぎしり・食いしばりが矯正に与える影響と対策を解説!

インビザラインで歯ぎしり・食いしばりが矯正に与える影響

インビザラインで歯ぎしり・食いしばりが矯正に与える影響にはどのようなものがあるのでしょうか。

歯ぎしり・食いしばりが矯正に与える影響と対策を知っておくと、リスクを避けながら治療を進めることができます。

本記事では、インビザラインで歯ぎしり・食いしばりが矯正に与える影響と対策を紹介しますので、ぜひご覧ください。

インビザラインで歯ぎしり・食いしばりが矯正に与える影響は?

インビザラインで歯ぎしり・食いしばりが矯正に与える影響には、下記の4つがあります。

  • アライナーの変形や破損のリスク
  • 治療計画通りに歯が動かなくなる可能性
  • 矯正後に歯列が戻りやすくなるリスク
  • 矯正中はナイトガードが使用できない

アライナーの変形や破損のリスク

インビザライン治療中はアライナーの変形や破損のリスクに注意しましょう。アライナーとは、インビザライン矯正に使用される薄さ0.5mmのプラスチック素材から作られたマウスピースです。

アライナーの1日の装着時間は20〜22時間です。時間をかけて少しずつ歯を動かしていくため、歯ぎしり・食いしばりが与える衝撃に弱く、使用できなくなってしまう恐れがあります。

歯ぎしり・食いしばりは自身では気づきにくいといわれています。自覚症状がある場合は、歯科医師に相談しましょう。

治療計画通りに歯が動かなくなる

治療計画通りに歯が動かなくなる恐れがあります。アライナーを装着した状態で歯ぎしり・食いしばりによる強い力が歯の移動と噛み合わせに影響を及ぼすでしょう。

歯ぎしり・食いしばりにより、治療計画通りに歯が動かなくなる恐れがあります。。噛み合わせのズレも生じやすくなり、場合によってはアライナーをすべて作り直すケースになりかねません。

計画通りにインビザライン治療を進めることができなくなり、治療期間も長引いていきます。

矯正後に歯列が戻りやすい

インビザライン矯正後に歯列が戻りやすくなる場合があります。矯正後に歯列が戻る現象を後戻りと呼びます。ただし、矯正前の歯列に戻ってしまうケースです。

歯ぎしり・食いしばりは、歯に過度な圧力をかけ続けることです。歯列矯正によって新しい位置に移動した歯が新しい位置に固定される前に、歯が元の位置に戻ろうとする力が強まり、後戻りを引き起こすでしょう。

歯ぎしり・食いしばりがある人は、インビザライン矯正後の後戻り防止への対処が必要です。

矯正中はナイトガードが使用できない

アライナーは1日20〜22時間装着するため、ナイトガードを使用することができません。ナイトガードは、夜間の就寝中に歯や周りの組織を守るために口腔内に装着します。

夜間の就寝中は、歯ぎしり・食いしばりが無意識に行われるため、自身でのコントロールは難しいとされています。就寝前にセルフマッサージを行い、咬筋(頬の筋肉()をほぐし、口腔内をリラックスさせましょう。

セルフマッサージの手順は以下のとおりです。

  • 親指を顎の裏に当てる
  • 歯を噛みしめ、硬くなった部分に残りの指を当てる
  • 口の力を抜き、4本の指で小さな円を描くように30秒間マッサージする

参考:噛み合わせの異常|歯とお口のことならなんでもわかるテーマパーク8020

歯ぎしり・食いしばりが歯に与える影響

歯ぎしり・食いしばりが歯に与える影響として、次のようなことが考えられます。

  • 歯の磨耗
  • 歯のひび割れや破損
  • 詰め物やかぶせ物が外れる
  • 知覚過敏や歯周病の進行
  • エラが張り、輪郭の変化
  • 顎関節症になる
  • 頭痛や肩こりが発生する

歯の摩耗

歯の磨耗に注意しなければなりません。歯ぎしり・食いしばりにより、自分の体重の2〜5倍の負担が歯にかかってしまいます。

健康な成人男性(20〜30歳)が噛み締めたときに奥歯にかかる力を調べた研究では、最小で27.5㎏、最大で100㎏を記録しました。歯ぎしり・食いしばりが歯にとって良いことではないとわかります。

歯ぎしり・食いしばりが日々繰り返されることにより、強い力がかかり続け、歯は徐々に削られてしまうため、注意が必要です。

参考:スポーツと歯科|歯とお口のことならなんでもわかるテーマパーク8020

歯のひび割れや破損

強い力がかかり続けることで、歯のひび割れや破損が生じる恐れがあります。圧力により、徐々に削られた歯は、ひび割れや破損を引き起こすでしょう。

歯のひび割れや破損が部分的や軽度の場合、痛みなどのほかの症状は出にくいといわれています。神経や歯周組織への影響も少ないものの、欠けた部分から神経が感染したり、歯が変色したり、歯肉が腫れる可能性があります。

歯のひびや破損状態によりますが、歯科医院を受診し、適切な処置をしてもらいましょう。

参考:歯の外傷|歯とお口のことならなんでもわかるテーマパーク8020

詰め物やかぶせ物が外れる

詰め物やかぶせ物が外れる場合もあります。歯ぎしり・食いしばりによる強い力は、治療した詰め物やかぶせ物が外れるリスクを高めるでしょう。

詰め物やかぶせ物が外れてしまった場合、隙間から細菌が侵入し、虫歯になったり、噛み合わせが変わったりする恐れがあります。外れたものは、大きな破損がなければそのまま接着剤で付け直すことが可能です。

自己判断で付け直すと圧力がかかり詰め物やかぶせ物の形が変わってしまいます。必ず歯科医院を受診するようにしてください。

知覚過敏や歯周病の進行

知覚過敏や歯周病の進行も忘れてはいけません。歯に強い負担がかかることで症状を引き起こします。

歯に圧力がかかることで歯は徐々に削られ、エナメル質がなくなり象牙質が露出していくでしょう。

歯が大きくすり減っても、わずかな範囲の象牙質の露出でも、知覚過敏は起こりやすいといわれています。歯周病になると歯肉や歯槽骨などの組織が破壊され、最終的には歯が抜け落ちることがあります。

歯のすり減る程度は人によって異なりますが、知覚過敏や歯周病を引き起こさないように注意が必要です。

参考:知覚過敏|歯とお口のことならなんでもわかるテーマパーク8020

エラが張り・輪郭の変化

顔のエラが張ったり、輪郭に変化が起きたりすることがあります。歯ぎしり・食いしばりにより、咬筋を過剰に使っているか、元々の骨格による可能性があります。

顔のエラが張って見えるのは、耳下の鎖骨を指す下顎角(エラ)部分が突出することが原因です。横顔で顎からつながる下顎底(口の床、舌が位置するところ)に対して、下顎角の骨が外に出ることで輪郭に変化が起こります。

歯ぎしり・食いしばりは、顔の見た目や輪郭にも影響を与えるといえるでしょう。

参考:舌の構造|歯とお口のことならなんでもわかるテーマパーク8020

顎関節症になる

顎関節症になることが懸念されます。顎関節症とは、顎の周囲が痛い、口が開けにくい、口を開けると音が鳴るなどの症状のことです。

人は会話や食事のために顎を動かすことで、頭にぶら下がっている下顎が筋肉によって動きます。無理な動きをしたり、オーバーワークが重なったりすると筋肉も疲れ、痛みとして現れるでしょう。

歯ぎしり・食いしばりにより、口が開かない、痛くて食事が取れないなどの症状がある場合は、顎関節症に対応した歯科医院へ相談してください。

頭痛や肩こりが発生する

頭痛や肩こりが発生する原因があります。歯ぎしり・食いしばりにより、咬筋などの筋肉に過剰な負担がかかることです。

筋肉につながっている首や肩まわり・こめかみなどの筋肉にも炎症が起きやすくなり、頭痛や肩こりの症状が現れることがあります。長時間の同じ姿勢や、ストレスなどによる疲れが肩の筋肉を萎縮し、血行不良を引き起こします。

頭痛や肩こりの症状が出た場合は、マッサージを行いましょう。血行が良くなり、筋肉の緊張がほぐれることで痛みが緩和されます。整体やリラクゼーションの利用もおすすめです。

歯ぎしり・食いしばりの原因は?

歯ぎしり・食いしばりには、主に次のような原因があります。

  • ストレスがたまっている
  • 喫煙やアルコールの影響を受けている
  • 浅い眠りが続いている
  • 寝具や枕が合っていない
  • 歯並びや噛み合わせが悪い
  • 集中している際に無意識に力が入る

ストレスがたまっている

日々のストレスがたまっている可能性があります。歯ぎしり・食いしばりはストレスが溜まることが原因です。

ストレスには、精神的なものや肉体的な疲れがあります。歯列矯正による痛みや違和感も関係することもあるでしょう。食いしばりで歯に力をかけることにより、一時的に痛みやストレスを逃そうとしていることが考えられます。

ストレスを感じたら、次の5つを試してみましょう。心身共にリラックスすることが大切です。

  • 適度な休養を取る
  • 入浴する
  • スポーツで体を動かす
  • 栄養バランスが取れた食事をする
  • 音楽を聴く

喫煙やアルコールの影響を受けている

喫煙やアルコールの影響を受けている恐れがあります。歯ぎしり・食いしばりが起こるのは喫煙や過度の飲酒により、自律神経のバランスを乱しやすいことが原因です。

昼間は体を活発に動かすために交感神経が優位になり、夜になると体を休めるために副交感神経が優位となります。ただし、喫煙や過度の飲酒は交感神経を刺激するため、緊張状態をつくりやすい環境です。

喫煙やアルコールは適度に摂取するように心がけましょう。緊張状態を意図的に解消することが大切です。

眠浅い眠りが続いている

睡眠時に浅い眠りが続いている可能性があります。睡眠時ブラキシズムの大半は、浅いノンレム睡眠時に発生することがわかっています。

ブラキシズムとは、無意識に上下の歯を噛みしめたり、すり合わせたりすることです。ノンレム睡眠とは、脳や交感神経、身体も休息している状態で、脳が休んでいる睡眠ともいわれています。

花粉症、アレルギー性鼻炎など、鼻が詰まりやすい症状がある場合、睡眠中の苦しさから眠りが浅くなることがあるでしょう。

寝具や枕が合っていない

寝具や枕が合っていないかもしれません。起床時に顎が疲れていたり、歯の痛みが出たり、良質な睡眠が取れない場合、日中の思考力や判断力が低下していく恐れがあります。

寝具は高反発タイプのマットレスがおすすめです。枕は、横に向いたときに身体が寝具と平行になる高さ、適度な硬さ、凹凸のない形がよいでしょう。

寝具や枕を適切なものを使うことにより、睡眠環境を見直すことで、歯ぎしり・食いしばりの軽減や心身ともに健康な状態が期待できます。

歯並びや噛み合わせが悪い

歯並びや噛み合わせが悪いことも原因の一つです。噛む力が不均衡に分散され、歯のくいしばりの習慣が生まれやすくなります。

歯ぎしりには、グラインディング(上下の歯と歯を左右に擦り合わせる)とクレンチング(一か所で噛み締める)があります。通常、上下の歯と歯には前歯で2mm程度の隙間があり、上下の歯は接触しません。

自分で噛み締めの確認をする方法があり、噛み締めを行うと咬筋(咬む時に使う筋肉)が膨らむかを見ます。専門的に調べるには筋電図という機器が必要です。

集中している際に無意識に力が入る

集中している際に無意識に力が入りやすい状態です。パソコンやスマートフォンの使用中、勉強、読書や、車の運転、楽器の演奏中などに見受けられます。

歯の接触に気づいたら歯を離す、仕事中も定期的に体を動かしてリラックスといった行動を取りましょう。意識的に繰り返すことで、食いしばりの改善が期待できます。

歯ぎしり・食いしばりは無意識のうちに起こるといわれており、自分では気づきにくいのが特徴です。虫歯・歯周病の予防とともに、歯科医院での定期検診を行うのがよいでしょう。

歯ぎしり・食いしばりでマウスピースが破損したときの対処法

歯ぎしり・食いしばりでマウスピースが破損したときの対処法があります。

破損したマウスピースは使用せずに、治療計画を見直すことです。対処法を知ることで、いざという時の判断に役立ちます。

破損したマウスピースは使用しない

破損したマウスピースの使用はやめましょう。破損した状態はマウスピース本来の形ではないため、使用を続けると予定とは異なる歯列につながる恐れがあります。

破損の例としては、以下のようなものがあります。

  • 踏んで壊してしまう
  • ティッシュに包んだまま誤って捨てる
  • ペットに噛まれてしまう

破損しやすい環境をつくらないよう、マウスピースを外したら、必ずマウスピースケースに保管しましょう。

マウスピースを破損した場合、予定外の歯の動きを防ぐため、1つ前のマウスピースに戻す方法があります。自己判断では行わず、歯科医師に相談してください。

治療計画を見直す

治療計画を見直す場合があります。破損により、計画した治療方法で進められないと判断した場合です。

マウスピース矯正では、治療前に担当医師との間で行ったカウンセリングや治療計画を作成します。治療のゴールへのイメージや目標とする歯並びを予測しますが、治療途中で止むを得ず計画を変更する場合もあるでしょう。

装着時間、食事、チューイーの使用頻度、マウスピースの保管方法など、患者自身の自己管理なども問われます。

インビザライン矯正中の歯ぎしり・食いしばり対策

インビザライン矯正中の歯ぎしり・食いしばり対策には次のようなものがあります。

  • 安静空隙を意識する
  • ストレスを減らす工夫をする
  • マウスピースの管理を徹底する

安静空隙を意識する

安静空隙を意識することが大切です。下顎の最もリラックスした位置で、上下の歯列の距離のことをいいます。

安静空隙は歯科治療において、上顎と下顎の歯との間に生じる特定の感覚を生かし、その位置関係を基準として利用されます。通常安静時には、上下歯列間には前歯部で2〜3mmの安静空隙が存在しており、上下顎歯列接触時間は1日20分程度です。

日常生活において、安静空隙を意識することにより、歯ぎしり・食いしばりの悪習慣を解消することに役立つでしょう。

ストレスを減らす工夫をする

ストレスを減らす工夫をすることも方法です。無意識で行われるものばかりではなく、意識的に行われる場合もあります。

歯ぎしり・食いしばりが強い力を伴ったり、弱くても長時間持続したりすれば、さまざまな為害作用を及ぼす可能性があるでしょう。有害な行動を無意識、意識的に行っていることを認識させるための行動変容療法を用いるのも方法です。

バランスの取れた食事、適度な運動、アルコール摂取など、生活習慣の見直しをするとよいでしょう。

参考:歯ぎしり|歯とお口のことならなんでもわかるテーマパーク8020

マウスピースの管理を徹底する

マウスピースの管理を徹底することが大切です。インビザライン矯正は自己管理の矯正方法といわれています。

治療計画に基づいて作られたマウスピースで、少しずつ歯を動かしていくため、計画に沿って行動することが求められます。

  • 1日20〜22時間の装着時間の徹底
  • 歯にフィットさせるためのチューイーの使用
  • 食事の取り方、歯磨きの方法
  • マウスピースを外した時の取り扱い方法

マウスピースを自分で取り外すことができるため、自己管理ができるかどうかで、計画的に治療を進められるかが決まるでしょう。

インビザライン矯正に関するよくある質問

ここでは、インビザライン矯正に関するよくある質問と回答をまとめましたので、参考にしてください。

マウスピースで歯ぎしりは治りますか?

マウスピースで歯ぎしりが治せるかどうかは、状況によって異なります。一時的な歯ぎしりの場合は、マウスピース矯正ができる可能性が高いでしょう。

長時間の歯ぎしりや程度がひどい場合はマウスピース矯正ができず、ワイヤー矯正を進められる可能性があります。治療を受けたい人の歯ぎしりの程度に合わせて検査、診断を行う流れです。

歯ぎしりがある人は、どちらの治療方法が適しているか、一度、歯科医院へ相談をしてみてください。

インビザラインは食いしばり癖で変形しますか?

インビザラインは食いしばり癖で変形します。インビザラインのマウスピースは0.5mmという薄い素材でできており、無理な力を加えることが変形の原因になるでしょう。

食いしばりの癖により、マウスピースが本来の効果を発揮できず、治療にも影響が出る場合があります。マウスピースを噛み締めることで、変形につながりやすいといえます。

マウスピースの変形は、治療を長引かせたり、新しいマウスピースの作成が必要になったりする恐れがあります。食いしばり癖のある人は注意が必要です。

まとめ

本記事では、インビザラインで歯ぎしり・食いしばりが矯正に与える影響と対策を解説しました。

アライナーの変形や破損のリスク、治療計画の見直し、後戻りの原因を理解するとともに、マウスピースが破損した時の対処ができるようにしましょう。

歯ぎしり・食いしばりのある方は、自身の癖を理解し適切に対応できるよう、歯科医師へ相談してください。

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