インビザラインの装着時間が短い場合、どのようなリスクがあるのか気になったことはありませんか。
装着時間を守るためのポイントと守れないときの対処法を知っておくと、治療へのモチベーションが維持できます。
本記事では、インビザラインの装着時間が短いときの影響とリスク、守れないときの対処法を紹介しますので、ぜひご覧ください。
インビザラインの装着時間が短いとどうなる?
インビザラインの装着時間が短いと、次のようなリスクがあります。
- 理想の歯並びにならない
- 噛み合わせが悪くなる
- 後戻りする
- 歯茎が下がる
- マウスピースが合わなくなる
- 治療期間が延びる
- 追加料金がかかる
理想の歯並びにならない
インビザラインの装着時間は20から22時間が推奨されています。装着時間が短いと、ゆっくりと歯に圧力をかけて動かす時間が不足してしまうからです。
ワイヤー矯正は装置を自分で取り外すことはできませんが、24時間圧力がかかっている状態を保てます。インビザライン矯正は、自分で取り外しができるため、自己管理に基づいて装着する必要があるのです。
理想の歯並びになるためには、歯を動かす時間をしっかり確保できるよう、装着時間を守るようにしましょう。
噛み合わせが悪くなる
装着時間が短いことで、噛み合わせが悪くなる恐れがあります。予測した歯の動きができなくなり、歯並びを整えるうえで影響が出てくるからです。
装着時間が短いと、マウスピースを外すことで歯に適切な力が加えられない、マウスピースを外している間は歯が元の位置に戻ろうとするなど、治療計画通りになりません。
マウスピースは、食事と歯磨き以外、決められた時間を装着することが大切です。
後戻りする
歯は元に戻ろうとする力があります。歯を支えている歯槽骨(歯を支えている骨)は、日々古い骨が新しい骨に少しずつ置き換わるからです。
移動させたい方向に弱い力を加え、力がかかる部分で周囲の骨を吸収することで反対の部分に新しい骨が作られます。骨の新陳代謝を利用し、マウスピースをつけることで歯を少しずつ計画的に移動させるのです。
マウスピースの装着時間は歯を動かすのに必要な治療の基本となります。後戻り防止のためにも装着時間を守りましょう。
歯茎が下がる
矯正治療では歯茎が下がった(歯肉退縮)という事例があります。歯肉退縮は歯を支えている歯槽骨(歯を支えている骨)が少しずつ吸収と再生を繰り返し、吸収した量に対して再生量が少ない場合に起こるのです。
矯正治療中の歯磨きが十分にできておらず歯周病になる、歯並びが悪いため歯が重なるなど、周囲の骨が少なかったことなども原因になります。
マウスピースの装着時間が短いことで噛み合わせが悪くなり、後戻りにも影響すると歯茎が下がる恐れがあるでしょう。
参考:矯正治療が歯周組織に及ぼす影響について|日本舌側矯正歯科学会
マウスピースが合わなくなる
使用中のものや新しいマウスピースが合わなくなることがあります。装着時間の不足により、予定した動きにならないことが原因です。
インビザライン矯正におけるシミュレーション(クリンチェック)では、何枚ものマウスピースを作成し、少しずつゆっくり歯を理想の形に並べていきます。取り外しが頻繁で、外している時間が長いと、歯が後戻りを起こしやすくなるでしょう。
計画通りに治療を進めるには、決められた装着時間を守ることが前提です。
治療期間が延びる
状況次第では治療期間が延びることも視野に入れましょう。矯正治療で歯を動かしていくには個人差があるほか、さまざまな影響を受けます。
予測した歯の動きが実現できなかったり、噛み合わせが悪くなったりすることで、歯が骨からはみ出す(骨隆起)など、不測の事態が起こる可能性があるからです。装着時間が短いことによってもこれらの原因になりえます。
理想とする歯並びになることは、自己管理によって左右されるといえるでしょう。
追加料金がかかる
当初の予定より追加料金がかかるかもしれません。このままでは治療が進まないと判断した場合、マウスピースの作り直しが必要になるからです。
インビザラインは2ヶ月に1回の通院以外は、自己管理のもとにマウスピースの装着や週1回の交換が必要です。マウスピースに不具合や口腔内の違和感がある場合、マウスピースの作り直しに時間と費用がかかります。
自己管理を怠ることで追加料金がかからないよう、装着時間を守る工夫をしましょう。
インビザラインが痛い
インビザラインの痛みを感じることが装着時間に大きく関係します。痛みを我慢できない場合、自分で取り外すことができるからです。
インビザライン治療を始めた直後や新しいマウスピースに交換したばかりの際に、痛みが出やすいといわれています。矯正治療で歯を動かす際に、歯根の周りにある歯根膜という繊維からできた薄い膜が引っ張られることによる痛みです。
痛みは数日後には徐々に改善されますが、痛みが治らない場合、歯科医師に相談してください。
インビザラインの装着時間を守るためのポイント
インビザラインの装着時間を守るためには、日常生活の中でさまざまな工夫を取り入れましょう。
矯正治療を生活の一部にうまくなじませるためのポイントは、次のとおりです。
- スマホのアプリを活用する
- マウスウォッシュや歯磨きシートを携帯する
- マウスピースは専用ケースで保管する
- 予備のマウスピースも常に持ち歩く
- 食事時間や回数を増やさない
- アライナー交換直後は外食を控える
- 鎮痛剤を適切に服用する
- マウスピースをつけるメリットを意識する
スマホのアプリを活用する
装着時間の管理には、スマホのアプリを活用するのがおすすめです。時間を正確に把握し、装着時間のサポートに役立ちます。
朝食、昼食、夕食の終了時間ごとにアラームをセットし、歯磨きをした後に装着する習慣をつけましょう。
時間管理を行うことで、次のようなメリットがあります。
- 規則正しい生活ができる
- 効率よくマウスピースを装着できる
- 矯正治療へのモチベーションが高まる
慣れるまでは時間に縛られた感覚があるかもしれませんが、リズムをつかむことで気持ちも引き締まるでしょう。
マウスウォッシュや歯磨きシートを携帯する
ケアできる環境を作るようにしましょう。マウスウォッシュや歯磨きシートを携帯することで、食事と装着時間の区別をつけることが可能です。
食事をする場所に必ず歯磨きができる施設がない場合もあります。歯ブラシをかばんに入れ忘れることも考えられるため、歯ブラシに代わるケア用品を備えておくのがおすすめです。
食後にマウスウォッシュや歯磨きシートを使用することで、口腔内がさっぱりし、虫歯リスクの予防にもなります。
マウスピースは専用ケースで保管する
マウスピースを外したら、専用ケースで保管しましょう。外したマウスピースを適切な状態で維持できます。
専用ケースがない場合にうっかりしてしまいがちな主な行動は、次のとおりです。
- 洗面所などに置き忘れる
- ティッシュに包み、謝って捨てる
- ポケットに入れて破損する
- ペットがおもちゃと間違えて噛む
自分で取り外しできるからこそ、自己管理が問われます。破損、紛失防止のためにも、専用ケースで保管することが大切です。
予備のマウスピースも常に持ち歩く
万が一のために、予備のマウスピースも常に持ち歩きましょう。使用中のマウスピースに不測の事態があった場合、予備があれば対処法になります。
1つ前のマウスピースを用意しておきましょう。破損、紛失の際にマウスピースが使用できず装着できない時のためです。マウスピースを装着しない状態を続けることは、歯が予期せぬ動きをして後戻りのリスクにつながります。
治療の進捗に大きな影響を与えるため、いつでも備えておくことが重要です。
食事時間や回数を増やさない
1日の食事時間や回数を増やさないように心がけましょう。マウスピースを外す機会が増えるとともに、装着時間が短くなる原因となります。
テレビやスマホを見ながら食事をすると、食事時間が長引く原因になるでしょう。間食が多い場合は、マウスピースを外す回数が増えるとともに、そのたびに歯磨きをしなければなりません。
マウスピースを長く装着できるよう、規則正しい食生活を送れるように心がけることが大切です。
アライナー交換直後は外食を控える
交換直後は、新しいアライナーの矯正力を保つための装着時間が必要です。
外食をすることで、普段より1回の食事時間が長くなることが考えられます。アライナーを外している時間も延びるため、装着時間が短くなります。
アライナー交換直後に、外食やイベントなどのスケジュールを重ねないようにしましょう。予定を立てる時は、交換直後を避けて装着時間を十分に考慮することが大切です。
鎮痛剤を適切に服用する
マウスピースの装着で痛みが出る場合、鎮痛剤を適切に服用しましょう。痛みは、予測した歯の動きに合わせたマウスピースの形に沿って歯が動こうとすることによるものです。
ワイヤー矯正に比べ、マウスピースによる痛みは少ないといわれていますが、痛みの感じ方には個人差があります。矯正中の痛みはマウスピースが歯になじむことによって徐々に軽減されていきます。
耐えられない場合は、歯科医師に相談し、鎮痛剤を適切に服用することで痛みをコントロールしましょう。
マウスピースをつけるメリットを意識する
矯正中はさまざまな制限がありますが、マウスピースをつけることのメリットを意識することが大切です。
- 装着時間を守ることで歯に矯正力が与えられる
- 食事や歯磨きの時間管理ができる
- 間食回数が減り、虫歯リスクが軽減できる
- 理想の歯並びに近づく
- 口元を気にせず話せる、笑える
矯正中は痛みを伴ったり、自己管理が必要だったりするなど、大変なことも多くあります。
矯正をすることでなりたい自分を手に入れることができるため、メリットを意識して治療に取り組みましょう。
インビザラインの装着時間を守れないときの対処方法
インビザラインの装着時間を守れないときは、どのようにすればよいのでしょうか。
装着時間を守るために役立つ、次のような対処方法があります。
- 20時間の装着時間を徹底する
- マウスピースの交換時期を調整する
- 翌日の装着時間を伸ばす
- マウスピースの装着を最優先する
- ほかの矯正方法を視野に入れる
- 歯科医師に相談する
20時間の装着時間を徹底する
インビザラインは1日20から22時間の装着時間が必要です。しかし、最低20時間でも効果があるといわれています。
矯正治療を成功させるには、マウスピースにより歯にゆっくりと矯正力をかけて動かしていくための時間が必要です。理想的な装着時間は22時間ですが、日によって20時間の装着に変更するのも方法の1つです。
インビザライン矯正を行ううえで、装着時間の確保や調整は欠かせません。22時間の装着が難しい場合は、生活状況などを歯科医師に相談し、指示に従ってください。
マウスピースの交換時期を調整する
装着時間が短くなってしまった場合、マウスピースの交換時期を調整しましょう。十分な装着時間が確保できていなければ、歯は予定した動きをしていない可能性があります。
マウスピースは1週間ごとに新しいものへ交換しますが、状況に合わせた対応が望ましいでしょう。計画通りの動きが確認できない場合、同じマウスピースを長めに使用する方法もあります。
交換時期の調整は自己判断では行わないようにしましょう。必ず歯科医師に相談してください。
翌日の装着時間を延ばす
翌日の装着時間を伸ばすことで調整できます。外食やイベントなどで装着時間を守れなかった場合の方法です。
矯正期間中に止むを得ずマウスピースを外さなければならない場面にもあります。その際は、決まった日数のみの装着では、マウスピースが合わなくなる可能性があるため、注意が必要です。
マウスピースは、治療計画に基づき、歯の動きを予測して作られています。装着時間が短くなることで、マウスピースが合わなくなると、今後の治療にも影響を与えるでしょう。
マウスピースの装着を最優先する
理想の歯並びになるために、マウスピースの装着を最優先しましょう。装着時間の確保が治療においてとても重要なことです。
インビザラインは自己管理の矯正治療のため、装着時間のほか、食事や歯磨きの回数など、守るべきルールがあります。職場、学校、自宅で過ごすときや、旅行、イベントなど、ライフスタイルに合わせてマウスピースの装着を最優先に考えましょう。
日常にマウスピースの装着を取り入れることで、習慣化が期待できます。規則正しい生活を送るとともにインビザライン矯正治療を進められるでしょう。
ほかの矯正方法を視野に入れる
装着時間を守れない場合、ほかの矯正方法を視野に入れてもよいでしょう。自己管理が不要のワイヤー矯正もあります。
インビザライン矯正は、透明なマウスピースを自分で取り外せるため、通院頻度が少なくできます。ワイヤー矯正は取り外しができないため、常に矯正力がかかる状態です。
どちらもメリット、デメリットがあるため、自分に合った矯正方法を選ぶようにしましょう。
ワイヤーでも装置が目立たない方法に、ハーフリンガルや舌側矯正などがあります。それぞれメリット、デメリットがあるほか、治療が可能かどうかは歯科医師に相談しください。
歯科医師に相談する
進学、転勤、結婚、出産など、人生にはライフスタイルの変化があります。装着時間が確保できない日があらかじめ分かっている場合は、歯科医師にアドバイスを受けるようにしましょう。
1日や数日装置がつけられない時間が生じることもあります。それぞれの状況に応じて、後戻りなどのリスクや治療計画に影響が少なくてすむよう、歯科医師に適切な対策を確認しましょう。
インビザライン矯正を進めるうえで、心配なことや不安なことは歯科医師に相談してください。
まとめ
本記事では、インビザラインの装着時間が短いとどうなる?リスクは?守れないときの対処法を解説しました。
インビザラインの装着時間が短い場合のリスクを知ることが大切です。
22時間の装着が無理だと感じる理由、装着時間を守るためのポイントや対処法を理解することで、治療中にトラブルが起きても対応できるように備えましょう。
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