歯ブラシの毛先が触れたり、冷たい飲み物、甘いものなどで痛みを感じたりした経験はありませんか。
歯を削らず、専用の薬剤で歯を白くするホワイトニングでは、このような知覚過敏の症状が現れることがあります。
この記事では、ホワイトニングで知覚過敏になる原因、対処法と予防法を詳しく解説します。
目次
ホワイトニングで知覚過敏になる原因
ホワイトニングで知覚過敏になる原因として、次のようなことが考えられます。
- 歯が削れている
- 歯にひびが入っている
- 歯が欠けている
- 虫歯がある
- 歯周病が進行している
- 薬剤による刺激
歯が削れている
日常生活における癖や習慣が関係していることがあります。咬耗(こうもう)、磨耗(まもう)と呼ばれる状態です。
咬耗は、硬いものを噛みすぎたり、歯ぎしり・くいしばりをしたりすることが原因です。一方、磨耗は研磨剤の多く入った歯磨き剤などで強く磨き続けた場合に起こります。
歯科医院で歯ぎしりやくいしばりのチェックを受け、マウスピースの作成を相談するとよいでしょう。また、知覚過敏用の歯磨き剤に変え、ブラッシングの指導を受けることもおすすめします。
歯にひびが入っている
歯に強い力が加わることでひびが生じる場合があります。これを咬合性外傷といい、口腔内の組織が傷つく症状です。
咬合性外傷とは、歯の噛み合わせが原因で起こります。歯ぎしり・くいしばり、噛み合わせの高い被せ物を入れているなど、特定の歯に過剰な力が加わることです。
就寝中だけでなく、日中の起きているときでも無意識の状態で行われているといわれています。
咬合性外傷の原因には、ストレスが多い生活が関係しているかもしれません。仕事とプライベートを切り替えることで、リフレッシュできる環境をつくりましょう。
歯が欠けている
転倒や衝突による強い衝撃で歯は欠けることがあります。これを破折と呼び、象牙質が露出すると知覚過敏の症状が現れる可能性があります。
部分的で軽度に欠けた場合、痛みなどの症状は出にくく、神経や歯周組織への影響は少ないことが多いです。しかし、歯の神経の部分に細菌が侵入した場合、炎症を起こすかもしれません。
欠けた状態によっては、歯科医院で詰め物や被せ物の処置を行い、経過観察の必要があります。早めに受診をすることが大切です。
虫歯がある
治療をした歯に知覚過敏の症状が起こることがあります。歯を削ることで歯の神経が痛みを感じやすくなるからです。
治療方法によっては、噛み合わせたときに痛みを感じるようになる場合もあります。また、日が経つにつれて知覚過敏の症状が治まることもありますが、再治療したり、神経を取り除く治療が必要になることもあります。
虫歯予防には、歯磨きの習慣が大切です。歯にプラークと呼ばれる細菌がついた状態は、歯の表面が酸により溶けるため、知覚過敏や虫歯も進行しやすくなります。
歯周病が進行している
歯周病とは、歯肉からの出血や赤み、腫れなどの炎症を伴う病気です。歯周病の症状は、歯肉炎、歯周炎、咬合性外傷があり、知覚過敏と関係しています。
歯周病の原因は、歯磨きが不十分な部分にプラークと呼ばれる細菌が長時間付着することで、歯肉の赤み、腫れ、出血などの炎症が起こることです。
出血を放置するとプラークが歯周ポケットの中に潜り込み、歯周組織を破壊し炎症を繰り返します。
歯周病は生活習慣病ともいわれており、全身のさまざまな病気のリスクがあります。日々の食事や歯磨きなど、習慣の見直しをすることが大切です。
薬剤による刺激
ホワイトニングの薬剤の影響で、知覚過敏の症状が出ることがあります。歯を白くし、効果を持続させるために薬剤が歯質内部まで浸透するからです。
ホワイトニングの薬剤は、歯の表面だけでなくエナメル質を透過して象牙質まで達し、歯質内部にまで漂白作用を与えます。薬剤の濃度の程度によっては、エナメル質の表面が荒れるため、ホワイトニングの処置中や処置後に知覚過敏が生じるでしょう。
知覚過敏の症状は一過性であり、ホワイトニングを中止すれば数時間から数日で消えるといわれています。
症状が改善されない場合は、歯科医院に相談し、適切な知覚過敏処置をしてもらいましょう。
参考:歯のホワイトニング処置の患者への説明と同意に対する指針|日本審美学会
そもそも知覚過敏とは?
知覚過敏とは、歯に感じる一過性の痛みで、特に虫歯や歯の神経の炎症などがない場合に見られる症状です。
露出した象牙質に刺激が伝わるため、ホワイトニング後は一時的な症状の場合が多いといわれています。
露出した象牙質に刺激が伝わる
歯がすり減ったり、歯が溶けてしまったりすることで象牙質が露出する可能性があります。露出した象牙質に刺激が伝わり、知覚過敏の症状が現れることがあります。
日常生活において、歯のすり減り方は人によってさまざまで、大きくすり減っても知覚過敏の症状が現れない場合もあれば、わずかな露出でも症状を感じることがあります。
酸性の飲食物を頻繁、かつ長時間摂取する習慣が続くと、歯が溶け始める恐れがあるでしょう。
露出した象牙質も弱い酸で溶けやすく、知覚過敏を起こす場合があります。噛み合わせや歯ぎしり、食いしばりの影響のほか、飲食の方法にも注意が必要です。
ホワイトニング後は一時的な症状の場合が多い
薬剤の使用により、ホワイトニング後に知覚過敏を感じることもあります。長時間の持続はなく、一時的な症状の場合が多いでしょう。
オフィスホワイトニングの場合、ホワイトニングジェルが軟組織(歯肉、歯髄、歯根膜など)に付着すると痛みが生じるといわれています。痛みは1〜3時間程度で消えるでしょう。
ホームホワイトニングの場合、知覚過敏以外に次のような症状が出ることがあります。
- 歯肉の灼熱間
- トレー装着による吐き気や噛み合わせの不具合
- ジェルを飲み込むことによる咽頭の痛み
知覚過敏以外にも症状を感じるときは歯科医院へ相談し、適切な指示を受けるようにしましょう。
ホワイトニング後の知覚過敏が痛すぎるときの対処法
ホワイトニング後、知覚過敏の痛みを軽減する方法を知っておくとよいでしょう。
痛みは一時的なもので、数時間で消えますが、痛すぎる場合の対処法に次の4つがあります。
- 鎮痛剤を服用する
- 刺激の強いものは避ける
- 歯科医院でコーティングしてもらう
- マウスピースの装着時間を短縮する(ホームホワイトニング)
鎮痛剤を服用する
ロキソニンなどの市販の鎮痛剤を使用しましょう。鎮痛剤を服用することで痛みを和らげる効果が期待できます。
ホワイトニング後は、歯の表面を保護している有機性の被膜(ペリクル)を除去し、エナメル質の表面が荒れるといわれています。ホワイトニング後の痛みは、1〜3時間で消えますが、痛みの感じ方は人それぞれ違いがあるでしょう。
痛みにより日常生活に支障が出る場合は、必要に応じて鎮痛剤を使用しましょう。
刺激の強いものは避ける
ホワイトニング直後は、刺激の強い飲食物は避けるようにしましょう。柑橘系のような酸性の飲食物の摂取は、エナメル質を脱灰する恐れがあり注意が必要です。
脱灰とは、歯の表面のプラークと呼ばれる細菌が飲食物の中の糖分を摂取・分解して出た酸により歯が溶けることです。
次のような色の濃い飲食物は、ホワイトニング直後、24〜48時間は摂取を控えましょう。
- コーヒー、お茶(ウーロン茶、紅茶、緑茶など)
- コーラ、赤ワイン
- タバコ
- カレー、醤油、ソース、マスタード、ケチャップ、ベリー類など
歯科医院でコーティングしてもらう
知覚過敏の症状を和らげるため、歯に薬剤のコーティングをする方法があります。エナメル質を保護することで、知覚過敏の抑制に効果的です。
エナメル再生療法とは、歯の表面のエナメル質に薬剤を塗ってコーティングする方法です。初期の虫歯を削らずに改善することでも広く知られています。
フッ素塗布も合わせて行いましょう。歯科医院で行うフッ素塗布は高濃度であり、効果も持続するといわれています。
口腔内の状態を確認するためにも定期的な通院がおすすめです。
参考:むし歯になるとエナメル質が溶ける?大切な大切な歯のエナメル質を再生するには|歯科再生医療協会
マウスピースの装着時間を短縮する(ホームホワイトニング)
知覚過敏の症状が出る場合は、ホームホワイトニングトレーの装着時間を短縮しましょう。歯が薬剤に触れる時間を制限することで、症状を和らげることができる場合があります。
ホームホワイトニングとは、歯科医院で型取りをしたホワイトニング専用のマウスピーストレーと薬剤を使って自宅で行う方法です。1日2時間、かつ2週間続けることでホワイトニングの効果が得られます。
知覚過敏の症状に合わせて、トレーの装着時間を短縮すると、本来の効果が出にくい可能性もあります。不安な場合は、歯科医院へ相談することをおすすめします。
ホワイトニング後の知覚過敏による痛みの予防法
ホワイトニング後には、知覚過敏の症状に悩む方も少なくありません。白く美しくなった歯で快適に過ごすために、次の3つの予防法があります。
- 虫歯や歯周病の治療を事前に済ませる
- 知覚過敏用の歯磨き粉を使用する
- 薬剤の用量、用法を守る(ホームホワイトニング)
虫歯や歯周病の治療を事前に済ませる
ホワイトニングを行う前に、虫歯や歯周病の治療を済ませておきましょう。虫歯や歯周病がある状態だと、知覚過敏の症状が出やすくなります。
虫歯治療のためにエナメル質を削ったり、被せ物をつけたりする必要があります。歯周病による歯周組織が破壊されることで口腔内の環境は悪化するでしょう。ホワイトニングの効果が得られない可能性があります。
ホワイトニングは歯を白くし、口元を美しく見せるための方法です。効果を維持するためにも常に口腔内を清潔に保つように日々の歯磨きを心がけましょう。
知覚過敏用の歯磨き粉を使用する
知覚過敏用の歯磨き粉を使用するとよいでしょう。硝酸カリウムという成分が配合されており、刺激を抑える効果が期待できます。
歯と同成分のハイドロキシアパタイトには、歯を修復する働きがあります。細かいナノ粒子の場合、神経につながっている象牙質の層の中まで入り込み、刺激の元を抑えて痛みを和らげるでしょう。
歯のエナメル質も強くして象牙質を守ってくれるケア用品もおすすめです。フッ素入り歯磨き粉やジェル、洗口剤なども定期的に使用しましょう。
薬剤の用法用量を守る(ホームホワイトニング)
ホワイトニング薬剤の用法用量は必ず守りましょう。指示に沿って適切に使用することで効果が得られます。
ホームホワイトニングは、自宅で行う方法です。トレーの1歯につき、薬剤は米粒大を使用しますが、下の前歯には小さいため薬剤は3分の2に減らしましょう。薬剤をトレー内に伸ばし、毎日2時間装着を行います。
2時間を超えたり、ジェルが歯茎につくと痛みが出る場合があります。痛みが改善されない場合は、歯科医院に相談し、適切な処置を受けるようにしましょう。
ホワイトニング後の知覚過敏に関するよくある質問
ここでは、ホワイトニング後の知覚過敏によくある質問と回答をまとめましたので、参考にしてください。
ホワイトニング以外で歯を白くする方法はある?
ホワイトニング以外の方法は、ホワイトコート法とラミネートベニア法です。
ホワイトコート法は、歯を削らずに歯の表面に歯科専用のプラスチックを塗り、光で固める方法です。約30〜60分で行い、1〜3ヶ月間の効果が維持できます。
ラミネートベニア法は、歯のエナメル質の表面を0.5mmほど削り、前歯に付け爪のように歯に似せた色をしたセラミックを取り付ける方法です。通院は2回、知覚過敏などのトラブルがほとんどないといわれています。
ホワイトコート法は、ホワイトニング後1週間は知覚過敏の症状が出やすく、ラミネートベニア法は、セラミックが破損した場合の修復が難しいといわれています。メリット・デメリットを理解し、自分に適した方法を行いましょう。
知覚過敏でもホワイトニングはできますか?
知覚過敏のある人は、ホワイトニングを控えた方がよいでしょう。ホワイトニングの薬剤で知覚過敏の症状が悪化する可能性があるため、知覚過敏の治療を始めることが先決です。
唾液や歯磨き剤からの再石灰化を促したり、硝酸カリウムという成分を含む歯磨き剤を使用したりすることで知覚過敏の改善効果が期待できます。
露出した象牙質の内部の小さな空隙を、さまざまな方法で封鎖したり、歯の神経への刺激の伝達を遮断したり、象牙質を被覆する方法もあります。
痛みが持続する場合は、歯の神経の炎症も考えられるため、歯の神経を取り除くこともあるでしょう。
ホワイトニング後の知覚過敏はいつまで続きますか?
ホワイトニングの治療による知覚過敏は一時的といわれています。ホワイトニングの薬剤が影響しているといえるでしょう。
自宅で行うホームホワイトニングの場合、1〜2日間、ホワイトニングを中止することで症状が消えていきます。症状に合わせて、使用時間の調整をすることで無理なく治療を進めることが大切です。
ホワイトニングが終われば、知覚過敏の症状も現れなくなります。使用する人の状態に合わせて様子を見ながら行いましょう。
まとめ
本記事では、ホワイトニングで知覚過敏になる原因、予防法と対処法について解説しました。
知覚過敏の原因には、歯の割れやひび、欠け以外に虫歯や歯周病の進行、薬剤による刺激などがあります。知覚過敏の症状に合わせ、痛過ぎるときの予防法や対処法を適切に行いましょう。
ホワイトニングを希望する場合は、ホワイトニング以外の選択肢もあるため、事前に歯科医院で相談してください。
西宮北口駅から徒歩1分の「西宮北口 歯医者 エイチアンドエル」では、ホワイトニングをはじめ、さまざまな歯科治療をご提供しています。
当院では患者さま一人ひとりの歯の状態に合わせて丁寧に診療プランをご提案いたします。マウスピース矯正、予防歯科、インプラント、虫歯・歯周病治療など、幅広い治療に対応しています。まずはお気軽にご相談ください。